人文知応援フォーラムとは
フォーラムが目指すもの
“ひとはどう生きるべきか”が改めて問われています。
文明は人類を豊かにした半面、自然の生態系に甚大なダメージを与え、その代償である温暖化や感染症は深刻度を増すばかりです。
他方人類自身の社会も管理できていません。不平等が社会を分断し、政治不信と資本主義への疑問を生んでいます。経済成長は富を生む一方、限りなき欲望の追求、それが満たされぬ不満を表出させました。その上自ら作ったAI(人工知能)に支配されることへの不安が語られています。
文明の基盤である合理性と細分化された専門性は、自然と人間のいずれも十分管理できず、問題は先送りされ、社会は漠とした不安に覆われています。
ではどうすれば良いのでしょう?シナリオは用意されていません。人間は偶然この世に生まれたに過ぎないからです。人間が自分の意思で自らの生き方を決めていかなければなりません。AIに頼ることもできません。AIは「生きること」の意味が分からないからです。
正しく生きるための叡知の多くは暗黙知の形をとっています。それは先人の叡知が言語化された古典に、ひらめきを生む芸術に、そして各自が親しむ伝統行事に蓄積されています。その総体が「人文知」なのです。それは仲間と交流し、対話を重ねるところに現れてきます。このフォーラムはそのための場なのです。
代表理事 近藤 誠一
ロゴマークについて
人文知応援フォーラムのロゴマークは、アートディレクターの浅葉克己氏に作成いただきました。浅葉氏は、トンパ文字による数多くの作品を発表されております。
上記の文字には、「丈夫」「大」等の意味があります。本フォーラムが大地に根を張り、大きく丈夫に成長していくことを表現しています。
また、この文字には漢字で「壮」、つまり「さかん」「元気づける」などの意味もあります。文化の多様性や豊かさを大切にしながら、多くの同志の協力を得て「人文知」の大切さを広め、また人文知が生かされる日本社会にしたいという、本フォーラムの設立趣旨をまさに表現しています。
これまで、日本は、何度も何度も、大きな困難に直面してきました。そのたびに、日本は超人的な力を振り絞ってそれを克服してきました。
その歴史を振り返ってみると、苦難と闘ってきた人等を支えてきたものが見えてきます。それは、深く豊かな人間的な力でした。小手先細工ではなく、理屈や技量だけでもなく、もっと深いところから湧いてくる知恵とエネルギーでした。
私たちは、その知恵とエネルギーの源泉を「人文知」と名付けます。それは、人が文化、芸術、人文学と親しむ中で身についてくる素養であり、力量でもあります。
「今の日本に必要なのは、この『人文知』である、これが広く伝わってこそ、私たちはこの困難な世界を堂々と生き抜いて行くことができる」と私たちは考えています。その思いを共有する同志が集まって出来たのが「人文知応援フォーラム」です。
人文知応援フォーラムは、今後とも多くの同志を糾合して、「人文知」がもっと活きて働けるよう応援して行きたいと思います。
まだ生まれたてのフォーラムですが、よろしくお願い申し上げます。
代表理事 大原 謙一郎